A 経済学・経済政策

「景気動向指数」の先行系列・一致系列・遅行系列をそれぞれ覚えておこう

A経済学経済政策

アウル先生
今回は中小企業診断士試験の「経済学・経済政策」から『景気動向指数』について説明するよ!

景気動向指数における先行系列、一致系列、遅行系列とは

前回の記事で、景気動向指数にはCIとDIがあるという話をしましたが、CI・DIにはそれぞれ、景気に対し先行して動く先行系列、ほぼ一致して動く一致系列、遅れて動く遅行系列3つの系列があります。

アウル先生
それぞれの特徴と利用目的を簡単に説明すると、

  • 先行系列:景気に先行して動く指標/景気の動きを予測する
  • 一致系列:景気とほぼ一致して動く指標/景気の現状把握に利用
  • 遅行系列:景気より遅れて動く指標/事後的な確認に利用

といった具合に使い分されているよ!

なお、CIとDIは共通の指標を採用していて、採用系列数は、先行指数11、一致指数9、遅行指数9の29系列になります。

アウル先生
それじゃあ、系列ごとにどんな指数があるのか見てみよう!

①先行系列(11系列)

1.最終需要財在庫率指数(逆サイクル)

出所:鉱工業指数(経済産業省)
鉄工業指数とは、鉱業・製造業の活動状況を総合的に表す指標として、経済産業省が公表している経済指標のこと。鉱工業指数にはいくつかの系列があるが、中でも在庫率指数は出荷量と在庫量の比率のことで、在庫とその出荷の比率の推移をみることにより、生産活動により産出された製品の需給状況を示す。

2.鉱工業用生産財在庫率指数(逆サイクル)

3.新規求人数(除学卒)

出所:一般職業紹介状況(厚生労働省)
新規求人数とは、新規に公共職業安定所(ハローワーク)に申し込まれた求人数のこと。特に景気後退の予兆に反応するといわれ、景気後退時には企業は求人活動を抑制する。

4.実質機械受注(製造業)

出所:機械受注統計調査報告(内閣府)企業物価指数(日本銀行)
メーカーが受注した設備投資用の機械の受注額を表したもの。一般的に企業が増産を行うには設備投資をしなければならず、その機械受注は企業が実際に設備投資をする数ヶ月前に行うため、先行性があるといえる。したがって、機械受注が好調であれば先行きの景気に期待ができる。

5.新設住宅着工床面積

出所:建築着工統計(国土交通省)
建築基準法に基づき建築主から都道府県知事に提出された建築工事届のうち、住宅について集計した指標。新設住宅の床面積に着目し、国民の購買意欲をはかり、景気の先行きを読むひとつの目安としている。

6.消費者態度指数

出所:消費動向調査(内閣府)
消費動向調査の一部として、今後半年間の「暮らし向き」・「収入の増え方」・「雇用環境」・「耐久消費財の買い時判断」について調査して数値化したもの。指数が50以上なら景気は良くなるとされている。

7.日経商品指数(42種総合)

出所:日本経済新聞
日本経済新聞社が開発した商品価格の動向を示す指標。市場規模など一定の基準で品目を選定し、卸価格をもとに算出される。日次更新の17種(銅・軽油・天然ゴムなど)と、月次更新の42種(17種+合板・上質紙など)がある。

8.マネーストック(M2)(前年同月比)

出所:マネーストック統計(日本銀行)
「金融部門から経済全体に供給されている通貨の総量」を示す統計。具体的には、一般法人、個人、地方公共団体などの通貨保有主体(=金融機関・中央政府以外の経済主体)が保有する通貨量の残高を集計している。マネーストック統計には、通貨の範囲に応じてM1、M2、M3、広義流動性の4つの指標がある。

9.東証株価指数

出所:東証統計月報
東証株価指数はTOPIX(トピックス/Tokyo stock price index)とも呼ばれ、東京証券取引所第一部上場株式銘柄を対象として、東京証券取引所が1秒ごとに算出・公表している株価指数である。日経平均株価と共に日本株のベンチマークとされている。

10.投資環境指数(製造業)

出所:法人企業統計季報(財務省)マーケットデータ(日本相互証券)
投資のしやすさを指数化したもの。「投資環境指数(製造業)」は「総資本営業利益率(製造業)」から「長期国債(10年)新発債流通利回り(月末値)」を指し引いて求める。

11.中小企業売上げ見通しDI

出所:中小企業景況調査(日本政策金融公庫)
日本政策金融公庫が「中小企業景況調査」のなかで公表。中小企業に対して、売上など企業の業績に関する項目について質問し、「増加」と回答した割合から「減少」と回答した割合を引いたもの。

※逆サイクルとは、指数の上昇・下降が景気の動きと反対になる指標であることを指します。

②一致指数(9系列)

1.生産指数(鉱工業)

出所:鉱工業指数(経済産業省)
鉄工業指数とは、鉱業・製造業の活動状況を総合的に表す指標として、経済産業省が公表している経済指標のこと。中でも生産指数は、鉱工業生産活動の全体的な水準の推移を示す。

2.鉱工業用生産財出荷指数

出所:鉱工業指数(経済産業省)
鉄工業指数とは、鉱業・製造業の活動状況を総合的に表す指標として、経済産業省が公表している経済指標のこと。中でも出荷指数は、生産活動によって産出された製品の出荷動向を総合的に表すことにより、鉱工業製品に対する需要動向を観察するためのもの。

3.耐久消費財出荷指数

4.所定外労働時間指数(調査産業計)

出所:毎月勤労統計調査月報(厚生労働省)
残業や休日出勤に要する実労働時間を指数化したもの。企業が景気の拡大を受け、まず残業を増やすことで対応し、その後に雇用を増加させる傾向があることから、景気動向を敏感に反映する指数とされる。

5.投資財出荷指数(除輸送機械)

出所:鉱工業指数(経済産業省)
鉄工業指数とは、鉱業・製造業の活動状況を総合的に表す指標として、経済産業省が公表している経済指標のこと。中でも出荷指数は、生産活動によって産出された製品の出荷動向を総合的に表すことにより、鉱工業製品に対する需要動向を観察するためのもの。

6.商業販売額(小売業、前年同月比)

出所:商業動態統計(経済産業省)
小売業全体の1ヶ月の商業販売額を指す指標のこと。

7.商業販売額(卸売業、前年同月比)

出所:商業動態統計(経済産業省)
卸売業全体の1ヶ月の商業販売額を指す指標のこと。

8.営業利益(全産業)

出所:法人企業統計季報(財務省)
法人(全産業)の営業利益に着目した指数。

9.有効求人倍率(除学卒)

出所:一般職業紹介状況(厚生労働省)
有効求職者数に対する有効求人数の比率のこと。労働市場の需給状況を示す代表的な指標。

③遅行系列(9系列)

1.第3次産業活動指数(対事業所サービス業)

出所:第3次産業活動指数(経済産業省)
第3次産業(非製造業、広義のサービス業)に属する業種の生産活動を総合的に捉えることを目的とした指標。第3次産業を総合してとらえる指標としては速報性が高い。産業構造が、第1次産業(農林業・漁業)→第2次産業(鉱業・製造業・建設業)→第3次産業と比重が移りつつある中で重要性が高まっている。

2.常用雇用指数(調査産業計、前年同月比)

出所:毎月勤労統計調査月報(厚生労働省)
厚生労働省が発表している毎月勤労統計における雇用者数を、基準時点を100として指数化したもの。雇用水準の時系列的変化を示す経済指標の1つとされる。

3.実質法人企業設備投資(全産業)

出所:法人企業統計季報(財務省)四半期別GDP速報(内閣府)
貸借対照表・損益計算書などの財務諸表から、各企業が設備投資を行った結果として、固定資産などの増加した数字を四半期ベースで集計した指標。実数調査の結果であることから、設備投資の実態を知るのに有効。

4.家計消費支出(勤労者世帯、名目、前年同月比)

出所:家計調査報告(総務省統計局)
家計消費支出は、家計における支出の中で、実際の消費のために支出されている金額(食料費や住居費、光熱費、教育費、教養娯楽費、被服費など)のことを指す指標。

5.法人税収入

出所:租税及び印紙収入、収入額調(財務省)
法人の所得金額などを課税標準として課される税金(法人税)の収入を調査した指標。

6.完全失業率(逆サイクル)

出所:労働力調査報告(総務省統計局)
完全失業者数を労働力人口で割ったもの。完全失業者とは、(1)仕事がなくて、調査週間中に少しも仕事をしなかった者のうち、(2)就業が可能でこれを希望し、(3)かつ仕事を探していた者、および仕事があればすぐに就ける状態で過去に行った求職活動の結果を待っている者、と定義される。

7.きまって支給する給与(製造業、名目)

出所:毎月勤労統計調査月報(厚生労働省)
きまって支給する給与(定期給与)とは、労働契約、団体協約あるいは事業所の給与規則等によってあらかじめ定められている支給条件、算定方法によって支給される給与のことであって、所定外労働給与を含む。

8.消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)(前年同月比)

出所:消費者物価指数(CPI)(総務省統計局)
全国の世帯が購入する家計に係る財及びサービスの価格等を総合した物価の変動を時系列的に測定するもの。家計の消費構造を一定のものに固定し、これに要する費用が物価の変動によって、どう変化するかを指数値で示したもので、毎月作成される。

9.最終需要財在庫指数

出所:鉱工業指数(経済産業省)
鉄工業指数とは、鉱業・製造業の活動状況を総合的に表す指標として、経済産業省が公表している経済指標のこと。中でも在庫指数は、生産活動によって産出された製品が出荷されずに生産者の段階に残っている在庫の動きを示す。

※逆サイクルとは、指数の上昇・下降が景気の動きと反対になる指標であることを指します。

参考:内閣府HP:個別系列の概要

トラ丸
こんなにたくさんあったら覚えられないよ・・・
アウル先生
まずは、どの指数が、先行、一致、遅行どこの系列に当たるのかを覚えていくと良いよ!
時間があればそれぞれの指数がどんなものなのか確認してみよう!

当サイトの人気記事

比較ランキング 1

中小企業診断士の通信講座(オンライン学習サービス)は複数ありますが、結局どこのサービスを使ったら良いのか迷ってしまいますよね? そこで、『中小企業診断士スタディ・ラボ』では各教材の「①価格面」、「②2 ...

スタディング(STUDYing)アイキャッチ 2

中小企業診断士試験をはじめ、多くの資格試験受験者の間で注目を集めているオンライン学習教材が「スタディング(STUDYing)」です。 数あるオンライン学習講座の中でも、どうしてここまで人気が出ているの ...

診断士ゼミナール 3

中小企業診断士試験のオンライン講座の中でも、比較的人気の高い「診断士ゼミナール」! 他のオンライン学習サービスと一体なにが違うのか? その特徴(メリット・デメリット)・評判・口コミを探っていきます。 ...

-A 経済学・経済政策
-,

© 2024 中小企業診断士 スタディ・ラボ Powered by AFFINGER5